相続時のマンション評価額や税額はどう決まるのか

2019-08-22


2010年に流行語大賞にノミネートされて以降、「終活」なんて言葉も当然のように使われるようになりましたが、同時に相続に対する関心も高まってきました。

マンション選びは好きですが、『評価額』は全く考えたことがありませんでした。
そこで今回は、相続税で悩まないように「相続時のマンション評価額と納税額はどの決まるのか」の大切なポイントを解説してゆきます。

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相続時は土地の評価額も関係する!?

マンションの相続税計算にあたっては土地の価格と建物の価格を確認する必要があり、普段は専有部分の面積や評価額しか意識が行きませんが実際は土地の価格も関係してきます。

土地価格には実はいくつかの種類がある

土地価格は『一物四価』とも言われ、使われる場面によって同じ土地でも価格が違うという土地だけの性質があります。

①市場価格

これは、一般的な土地の需要、立地、形状、用途地域、周辺相場などを加味して算定する土地価格です。過去の取引事例なども参考にされることが多く、私たち一般人が不動産の売買をするときの実際の取引価格にあたります。

②固定資産税評価額

毎年1月1日に不動産を持っている人に必ず課税される固定資産税を算出するために市区町村が決める不動産の価値です。この後で説明をする相続税の参考価格とする場合もあります。

固定資産税評価額が4つの価格の中で一番安い価格になります。

③公示地価・基準地価

この2つの不動産価格は非常に似た性質のもので、あえて明確な区別をするなら、公示地価は国土交通省が決定するもので、公示地価が示されない土地価格を補完するものとして都道府県が基準価格を決めていると考えて問題ありません。

不動産鑑定額の基準や公共事業用の不動産価格の規準、その他税金の規準とするのが公示地価と基準地価です。

④路線価

路線価は国税庁が決めている、一定の距離間にある道路に面した土地の㎡単位で決める土地の価格です。「この道路の、ここからここまでに面している土地は㎡単価○○万円です」という表示がされます。

主に相続税や贈与税の算出に使われることの多い土地価格です。そして土地価格の種類の中で相続税計算で使われるのが、上記のとおり「路線価」です。場所によっては路線価が決められていない地域もありますので、その場合は「固定資産税評価額」に一定倍率を掛け算したものを使います。

路線価図(国税庁HPより)

土地と戸建、1棟収益物件の価格の査定をするときはこの『路線価』を主に実務では使います。上記の国税庁のHPで誰でも確認ができ、実勢取引価格をかなり正確に反映をしている指標です。
プロの投資家はこの『路線価』を調べてから不動産の価格査定、購入をしており、皆さんも土地が絡む不動産を取得する場合はできれば確認したほうがいい指標です。

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マンション部分の価格はどのように決まるのか

マンション部分のような建物は土地の価格の場合と違って非常にシンプルに「固定資産税評価額」がそのまま建物の価格になります。

マンションの持分割合と相続税評価額の計算

先ほどの説明で「もしかして、マンションって土地も一緒に買っているの?」と思われた方もいたかもしれませんが、正確には「そのマンションと敷地をセットで取得している」ということになります。よって、そのマンションの部屋だけを売って、敷地の所有権を手元に残すことができるかというとそれはできません。

マンション購入時に登記されることになる敷地権は正確には「敷地利用権」と言い、マンションの売買と分離できない仕組みとなっていて、必ず売買と同時に敷地権も一緒に売買されることになります。

マンションの場合、土地と建物がばらばらに流通してしまうと、権利関係が非常に複雑になってしまうので土地建物の『分離処分禁止の原則』のルールがあります。

さてでは、相続時のマンションの価額が決まる仕組みに話を戻します。

マンションは建物全体の一部の部屋と、敷地の一部を持ち分として購入するものです。そして、マンションの評価額は「建物価格(固定資産税額)」と「土地価格(路線価に一定割合を乗じる価格)に対して持分割合を乗じた価格」を合算したものが相続税計算をする時のマンションの評価額になります。

文章では分かりづらいので、計算式で見ていきます。

計算式

相続時の評価額を求める計算式

  • (1)マンション全体の土地の評価額=(路線価×一定割合)
  • (2)所有しているマンションの土地の評価額=(1)×持ち分割合
  • (3)マンションの評価額=固定資産税額
  • (2)+(3)=マンション相続時の評価額

実際には税理士さんにお願いをして相続税の申告をしますので、路線価が高い、持ち分割合が大きい場合は相続税額も大きくなるイメージを持ってもらえればいいと思います。

そして、マンションの評価額を自ら計算するのに必要なのは、国税庁のHPでも公表されている路線価と、それに乗じる一定割合、そしてマンション購入時の登記簿に記載されている持分割合、最後に市区町村の役所にある固定資産台帳で確認できるマンションの固定資産税となります。

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相続税額の決定方法

さて、マンションの評価額の計算方法が分かったところで、最終的に相続税がどのように決定していくのかを解説してゆきますが、相続税額どのような計算式になるか簡単に見ていきます。

実際の相続税額を求める計算式

  • (遺産総額-基礎控除額)×税率=相続税納税額

上記の計算式が相続税額の考え方となり、実際の遺産総額は様々な特例や制度、評価方法が絡んで一般の人には難しいところです。

また、上記計算式の「基礎控除」と、上記までにご説明していない遺産額の「按分」については納税額に深くかかわりますので、解説をしてゆきます。

基礎控除について

基礎控除とは遺産総額全部に税率をかけると非常に多額な納税額となることを避けるため、相続税計算をするうえで一定金額を遺産相続から引くことができるものです。これは単純に「3000万円+(600万円×相続人数)」で計算します。

按分計算

この基礎控除を引いた遺産額を相続人に応じて按分することになりますが、仮に相続人が「妻、子供2人」という場合であれば「妻1/2」「子供各1/4」という風に、相続人の数と属性によって按分する割合が決まっています。

相続税額の決定

その按分された金額に一定の税率を掛け、更にそれぞれの金額からを一定額を控除します。最後に、ここまでで算出された各金額を合計することでようやく相続税額が決まります。
言葉ではややこしいかと思いますので、実際に計算例を見てみましょう。

マンションを含めた遺産総額が「1億円」で、相続人が「妻、子供2人」の場合

(1)基礎控除を引いた遺産額を算出します。

1億円 - (3000万円 + 600万円 × 3人) = 5200万円

(2)妻の相続額を算出します。

(5200万円 × 1/2 - 控除額50万円) × 税率15% = 382万5000円

(3)各子供の相続額を算出します。

(5200万円 × 1/4 - 控除額50万円) × 税率15% = 187万5000円

(4)相続税総額を算出します。

(3) × 2人 + (2) = 757万5000円

簡単に覚えておくこと

結論は「妻と子供らのそれぞれの相続税額を合計した金額」が相続税額ということになりますが、遺産額から基礎控除を引いたり、妻や子供らの相続税額を計算する際の按分率や税率、控除額が違うため計算は複雑になります。

ざっくりとでも相続税を計算したいときには、最初の簡素な計算式を頭に入れておくだけでも良いと思います。

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まとめ

相続時のマンション評価額や税額について説明しましたが、上記までは、納税額を算出するにおいての基礎の部分となります。

実際には他にも控除されるものがあったり、相続人の続柄により按分の割合が変わったりと、生前や相続時の状況によって細かな決まりも考慮していかなければならず、税理士に依頼する箇所となります

ただ、自分の把握している遺産予定の物がマンションだけだったとしても、実は他にも相続対象となるものがあったりすると、テレビでよく見る遺産トラブルに繋がる可能性もありますので、いつか相続するとなった場合の基本的な税計算については、今後のためにも覚えておかれることをお勧めいたします。

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